【№9² 】ミニマルなブラックスーツ(スラックス編)。

前回はジャケットを紹介したので今回はスラックスの紹介をしていきます。もし見ていない方がいればこちらからどうぞ。

「−」のスラックス。

ジャケットと同じコンセプトでデザインされています。とにかくミニマルです。

省いた箇所
  • ウエストベルト
  • サイドシーム
  • 後ろ身頃のクリース
  • ヒップポケット
  • ボタン
  • 膝裏

単純にデザインを省いたわけではなく、それぞれに理由があります。その理由について、解説していきます。

「−」のウエストベルト。

ウエストベルトをなくすことでお腹を締め付けません。椅子に座った時など顕著に効果が表れます。

腰で履いているようなイメージを持つと分かりやすいかもしれません。

「−」のサイドシーム。

サイドシームレスにすることで生地の質感がダイレクトに出てきます。執拗にクセ取りされたスラックスとはある意味で違うシルエットです。

しかし、通常の2枚はぎのスラックスのパターンを脇で合わせただけでは良いシルエットは生まれません。なぜなら、それはクセ取りをすることが前提のパターンだからです。

今回のパターンは「ねじれ」を取り入れることにより、1枚はぎでも立体的なシルエットを作り出すことができました。例えるならメビウスの帯のイメージです。

「−」のクリース。

前身頃にはきちんとクリースが付いているのにも関わらず、後ろ身頃にはついていません。これは必然の結果で、前述した筒の「ねじれ」により折り目をつけようにも片方しかつけれませんでした。

前身頃は真っ直ぐの布目ですが、後ろ身頃は歪んだ独特のシルエットになっています。

「−」のヒップポケット。

ヒップポケットを省いた理由は、できるだけ生地が身体から浮いたシルエットを作り出したかったからです。大抵のスラックスは玉縁ポケットが用いられます。

外から見たら玉縁ポケットはシンプルですが、内側には4枚の生地が重なっています。その厚みが多少なりともシルエットに影響を及ぼすことは想像に難くないはずです。

実際にはあまり使われることがない(形が崩れるので物を入れることは好ましくない)ので思い切ってオミットしました。履き心地は生地を除いた分、とても軽いです。

「−」のボタン。

ボタンのない天狗

ボタンは縫い進めているうちに必要がないのではないか?と思い除去しました。

天狗を幅広にとっているので天狗の先にあるボタンとホックでしっかり固定されます。結局、前あきは内側が見えなければ開いていても問題ないと考えています(当然開いていないように見せる必要がありますが)。

このディテールに関しては今後、実験していく予定です。

「−」の膝裏。

膝裏とは主に前身頃についている裏地のことです。

膝裏は脇の縫い代処理の際に一緒に縫い止めるのですが、前述したとおり脇の縫い目がないので裏地が落ち着かなくなってしまいます。

結果的に膝裏を省くことなりましたが、パターンの関係であまり生地が脚に触れないようになってるのでさほど問題はないと思います。

「+」のディテール。

さて、ここまで様々な「−」について説明しましたが、今度はその逆の「+」について書いていきます。

今回のポイント
  • もみ玉縁ポケット
  • 腰裏
  • 棒シック
  • シートピース

上記は、ある意味ではなくても困らないけれど、あれば嬉しいオプション的なディテールです。順番に見ていきます。

「+」のもみ玉縁ポケット。

スラックスのもみ玉縁ポケット

このブログにも何回か登場している「もみ玉」です。

もみ玉縁は何度やっても難しい。口幅を極限まで細くしていきますが、その際にミシンがけが重要になります。

落ちるか落ちないかのギリギリをガタガタにならないように仕上げなければなりませんx(。無事に縫い終わりさえすれば後は丁寧にアイロンを掛けて、抑えステッチをすれば完了です。

両玉縁ポケットが全自動ミシンで縫えてしまう時代だからこそ、手縫いでなければ不可能なもみ玉縁に魅力を感じます。

「+」の腰裏。

スラックスの腰裏

よくオーダーメイドや高級スーツのスラックスについている腰裏です。マーベルト(滑り止め付き)も見られますが、この方法はとても手間がかかります。

腰裏があることにより、腰回りをしっかりホールドしてくれるので安定感があります。

縞スレキ|綿100%|生地幅52cm|ラベンダー色
フランス綾スレキ|綿100%|生地幅102cm|日本製

「+」の棒シック。

スラックスの棒シック

棒シックとは股ぐりにある棒状の補強布のことです。股は最も力がかかりやすい場所でもあるので付けておくと安心です。

股ぐりの交差地点は縫い代が密集しているので、それを隠すのにも一役買っています。

「+」のシートピース。

シートピース(Vノッチ)

最後に紹介するのはこのシートピース(Vノッチ)です。

ご覧の通り、V状に切り込みが入っています。たったこれだけですがウエスト部分に余裕が生まれ、より楽に着用することができます。腰芯にはダック芯と呼ばれる麻芯を使用しておりガッチリ感があるので、力を分散させるために取り入れました。

サイズについて。

ウエスト80cm
ヒップ109cm
ワタリ34cm
裾幅20.5cm
前ぐり23cm
股下77cm
  • 1点もの
  • 2、3度着用ずみ

不明点がありましたら、お問い合わせフォームまでお気軽にどうぞ!

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