1枚の中にいくつもの切り替えがある実験的な生地を手に入れたので、それを元にデザインを考えました。
ある程度使える色は限られていて生地の長さもギリギリです。なので、カラーリングを見比べながらインレイには特に気を使いました。カラフルですが実際は2面構成なのでシンプルな縫製で済むという合理的なジャケットです。
ジャケットの素描。
若干オーバーサイズ気味に作ってあり、羽織るだけでインパクトがあります。袖はキモノスリーブです。生地の色合いと相まって和風な感じもします。インナーにダーク系タートルネックを合わせた着こなしがカッコよくオススメです。
ディテールの一覧表。
アクセントとしてのポケット。
前後にそれぞれ一つずつポケットを配置しました。カラー同士のアクセントを意識してます。
変わり種ボタン。
天然貝をポリエステルで包んだ珍しいタイプのボタンを使いました。
貝の弱点である「割れやすい」と「色数が少ない」をポリエステルで包むことによりカバーした実用的なデザイン。そして、せっかく色展開が豊富なので全て違う色のボタンを試してみました。
- 第1ボタン:ブルー
- 第2ボタン:ライトグレー
- 第3ボタン:グリーン
- 第4ボタン:レッド
- 第5ボタン:ライトブラウン
サイズは20mm。日本製。鳥足がけです。
猫の目ボタン。

力ボタンは10mmの大きさで、素材は黒蝶貝を使用しています。
キャッツアイボタン。これはアメリカでの呼び名で、イギリスではフィッシュアイと言います。どっちでも良いけど。。
見た目のデザインだけでは無く、とても実用的なボタンがこのキャッツアイ(フィッシュアイ)。糸が表面に出ないので擦れにくく長持ちします。というわけで、昔のワーク系の服によく見られるボタンです。
個人的に印象に残っているのはLeeの名作Gジャン「101-J」。50年代以降は現在まで、アジャスターボタンにはキャッツアイボタンが用いられています。しかし、よく考えてみれば割れやすい貝ボタンと耐久性のあるキャッツアイという相反する要素の組み合わせは矛盾していて面白いですね。
まち付きキモノスリーブ。
袖はキモノスリーブといって、身頃から袖が続け裁ちになってます。
通常のセットインスリーブよりも柔らかい印象になりますが、袖の可動域が狭くなりがちです。なので、袖下にまちを配することにより腕を上げやすくしました。
あえてのオーバーロック。
縫い代の処理は全てオーバーロック仕上げで行いました。多くの糸を使うことになりますが、送り目は一番小さくして縫い目が1本のラインに見えるよう心がけています。
昔は送り目に関して全く気にしていなかったのですが、所有していたディオールオムのデニムの縫い代がその様に処理してあって感銘を受けました。その時以来、オーバーロックの送り目やかがり幅には気を付けています。
また、パイピングとオーバーロックのどちらが良いのか論争がありますが、結論から言ってそれは生地によります。
今回のような柔らかさが特徴の生地の場合は、パイピングをすると生地本来の性質がやや失われますね。柔軟性を持たせたいのであれば、オーバーロック一択でしょう。
- パイピング:デザイン性、耐久性あり、手間が掛かる、コストが掛かる
- オーバーロック:お手軽、柔軟性あり、大量生産向き
フラットなパッチワーク。
非常に凝った生地です。82cmの細幅で260cmしか手に入りませんでした。なので、裁断は差込みで行いました。差込みとは布地を裁断するときに布の無駄をなくすため、型紙を上下関係なく互い違いに入れ込むことです。
部分によって織り色が変化していて、まるで切替が入っているかのようです。パッチワークのようにツギハギでできた凹付きもない。。
- ポリエステル55%
- レーヨン15%
- シルク14%
- コットン14%
- ポリウレタン2%
あまり見た事のない素材の配合ではありますが、抜群のしなやかさとシャンブレー のような光沢感があります。
サイズについて。
裄丈 | 79cm |
身幅 | 55cm |
着丈 | 71cm |
袖口幅 | 15cm |
- 1点物
- 新品
- オーバーサイズ
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