【製作日記2.4】ジャケットの出来を左右する芯据え。【№10】

製作日記2のまとめ

【2.1】で作った芯が今回は登場します。それを表地に馴染ませていくのですが、据え方次第では芯の立体感を台無しにする可能性もあるので非常に神経を使う作業です。

生地に命を吹き込む。

ジャケットの芯据え

早速、芯据えについて説明していきます。芯据えとは表布を補強するために、必要な部位に裏面から芯をあて、止めつける作業で、ジャケット作りの中で最も神経を使います。というのも、どちらかが少しでもズレると浮き分が出て全く着ずらい服になってしまうからです。

これは数学の問題に似ています。 1問目を間違ってしまったらそれに続く解答は全て間違いとなってしまうのと同じで、この作業を失敗したまま進めると、どんなにアイロンをかけても直らない問題が出てきてしまいます。

芯据えをするにあたっては十分にアイロンを掛けて癖とりを固定させることから始めます。

表地にフロントダーツが入っていませんが、芯地には入っているので当然2つの生地は合いません。生地の布目を気にしながら手で馴染ませるように、慎重にしつけ止めしていきます。

特に注意が必要なのは前肩を形作るのに大切な肩ぐせです。しつけの順番に関して今回は省略しますが、少しでもおかしいと感じたら必ずやり直すことが大事だと思いました。

芯据えを終えて。

芯据えが完了した前身頃を人台に合わせてみました。レディースのボディなのでイマイチ分かりにくいところもありますが、別段おかしいシワもなく大丈夫そうなので先に進めていきます。

メンズボディ欲しい。。

手縫いで行う「見返し据え」。

次は表地と見返しを縫い合わせていきます。

通常のジャケットだと中表(表どうしを合わせる)にしてミシンで縫い合わせてから表にひっくり返すという作業をしていきますが、今回はちょっと違います。

①:伸び止めのテープ。

ジャケットのテープ据え
画像左が芯据え後の前身頃、右がテープ据え後の前身頃です。
テープ据えの順序
  1. チャコペーパーで表地の出来上がり線を台芯に写す
  2. 写した線に沿ってスレキのストレートテープを据える(肩線の辺りは長めに残しておく)
  3. 台芯をテープに沿ってカットする
  4. テープの内側を芯のみにまつる
  5. テープの外側は表地を少しすくってまつる
  6. 前端の表身頃の縫い代を1cmに切り揃える

地味な作業ですがテープを貼ることにより、前端が伸びたりして歪むのを防ぐ効果があります。

②:もう見れない内部構造。

見返し据え前の比較

ここで少しおさらいをしておきます。画像左が見返しの裏面、右が表身頃の裏面です。

これから2つをドッキングさせますが、恐らく二度と見られないので写真に収めました。本来は作り手だけしか見ることのできない風景ですが、読者の皆さんにお裾分けです。

③:「味がある」ということ。

ジャケットの見返し据え

画像左が見返し据えの終わった前身頃、右がその直前の前身頃です。フロントに関しては全くミシンを使っていません。

見返し据えの手順
  1. 表地の裁ち端に合わせて袖側の芯をカット(袖ぐりの底は0.5cm残す)
  2. 表地と見返しを合わせて、見返しの縫い代を整える
  3. それぞれの縫い代を出来上がりに折ってまつる
  4. 外表にして折った端を毛抜き(控えず)で合わせる
  5. しつけをして絹糸で表から見えないようにまつる
  6. 際に星止め

なぜ、ミシンを使わずに手縫いでフロント処理をすると良いのかと言いますと「なんとも言えない味がある」この言葉に尽きると思います。そういうような理論では説明できない、合理性とはかけ離れたところを大切にしたいものです。

また、見返しを控える必要もなく毛抜きで両面を合わせることによってギリギリの際に星止めができるという嬉しいメリットもあります。

着やすさに直結する「見返しの処理」。

次に見返しの処理をしていきます。

これがまた結構ストレスの溜まる作業でして。。ここは心を無にして、効率よく終わらせて次の工程に進みましょう。

①:地味だけど大切な「中とじ」。

ジャケットの中とじ

中とじとは表地と裏地が離れないように糸で縫い付ける作業のことをいいます。糸は緩めに縫い付けて生地の表面に響かないようにしてあげることが重要だと思います。

見返しの中とじの手順
  1. 前端から2cmの位置にしつけ
  2. 見返しの中心に裏から台芯のみにしつけ
  3. 内ポケットの袋布の縫い代を通り、台芯までしつけ
  4. 裏地をめくり袋布の縫い代と台芯をかがる
  5. 見返しと裏地の際にしつけ
  6. 裏地をめくり見返しの縫い代と前芯をかがる
  7. そのまま内ポケットの袋布1枚と見返しの縫い代をかがる
  8. 内ポケットの力布と袋布を胸増し芯に止めつける(2本取り)

表地か裏地の縫い代を吊れないように配慮しつつ片っ端から止めつけていきます。文字に起こすと大変そうですが、実際はシンプルな単純作業です。

②:裏布はゆとりが大切。

裏地を止めつけ

裏地を整理するためにしつけ糸で止めていきます。

注意点は、後の工程のために余白を残しておくことです。できるだけ裏地は固定しておきたいですが、まだ脇入れや袖付けといった作業が残っています。なので、その先の作業に差し支えない程度に内側にしつけをしていきます。

それから余分な裏地をカットしていきます。各ポイントによって縫い代の長さは異なりますが、このジャケットの場合は下記のとおりです。

  • 袖下:2.5cm
  • 脇線:1.3 – 1.7cm
  • ベンツ周辺:1.0cm

脇の下は運動量が多いので、多めに縫い代を付けておくと動きやすい服になります。そして、その多めの分量はきせとして後の作業で処理します。

次回はサイドベンツと脇入れについて解説していきます。

続く。

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